《 防 衛 隊 奮 戦 記 》 その2



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 ぐわっしゃーーーん!!


 
轟音と共にビルが崩壊した。


 何が起こったのかは、すぐに分かった。


 四つんばいになった裸の巨大な少が、その姿を現したからだ。



 彼女がその巨体で、ビルを押し倒したのは間違いなかった。


 
戦車の上に乗っていたは、彼女の姿を見て凍結してしまった。









 俺はあんぐりと口を開けていた。

 彼女の存在が信じられなかった。


 彼女はあまりにも大きくて 力強かった。
80階建てのサンヒャインビルでさえ、彼女の腰までの高さがあるか疑わしかった。


 彼女は東京ドームを片方のブラにできるほど大きな胸を、ゆさゆさと揺らしている。
そして、はるか上空に、すごく巨大だが可愛い女の子の顔が見えた。


 巨大少女は微笑みながら、俺の方を見下ろしていた。


 ふざけたことに、
「あー、おもちゃみっけ!!」 とかほざいている。


 いや・・・、笑い事ではない。


 彼女にとって、俺達の乗っている戦車などコガネムシほどの大きさもないだろう。
そして、俺達なんか、ほとんど蟻くらいにしか見えない巨大さだ。

 彼女に捕まったら、間違いなく俺達は玩具にされるか 潰されるかだろう。



 俺は腰が抜けてしまった。

 なんということだ! ついに俺も巨大少女に遭遇してしまったのか。

 防衛軍第7戦車部隊所属の俺は、巨大少女の力をよく知っていた。
過去に巨大な女性に戦いを挑んだ部隊が、どうなったかを・・・。


 彼女は四つんばいになったまま、俺達の戦車部隊の方に迫ってきた。
彼女が前進するたびに、周りのビルが押し倒され崩壊する。

 彼女は俺達を楽しそうに見つめている。
俺達を捕まえて、玩具にするつもりなのだろう。


 俺は自分の不幸が信じられなかった。


「おい、に、逃げろ! い、いや退却、退却だああ!!」


 俺は情けない声で、同僚達に向かって叫んだ。


 もちろん、俺に言われるまでもなく、彼女の巨体を見ただけで、
第7戦車部隊は総崩れになり、猛スピードで遁走し始めていた。


 自慢するわけではないが、俺達の乗る
87式戦車は速い。
障害物が無ければ、時速70kmの ぶっちぎりのスピードでかっ飛ばせる。


 それなのに、巨大少女は難なく俺達に迫ってきた。 俺は絶望した。
四つんばいになって追いかけてくる少女から、逃げられないほど無力だとは・・・。


 それから30秒もたたないうちに、俺達の戦車は、彼女の二本の指に摘み上げられた。

 彼女の指は、大木のように太かった。

巨大な顔の池のような瞳がきらきら輝きながら、俺達の乗る戦車を見つめている。


「助けてクレー!! 下に降ろしてくれえええー!!」

 空高く持ち上げられた俺は、恐怖の悲鳴を上げた。




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