《 ユイさん 》 第5話
一馬は、息を呑んだ。見上げる巨大な彼女が、想像を絶する美を示していたのだ。
心が挫かれた。ちっぽけな自分の価値は、美の化身となった女神の前では、ないに等しかった。
「ユイ様・・・」
彼女はこの世の人ではなかった。巨大な女神だった。そこに跪き、ただ、ただ、祈りを捧げるべき存在だった。
その彼女の視線が、自分を向いた。
「あら、一馬クン、久しぶり」
一馬は、彼女に声をかけられ、ドギマギしてしまった。名前で呼んでもらえたのは、半年振りだった。
彼女がちっぽけな自分の名前を覚えていてくれて、さらに、その名前を口にしてくれたのだ。既に、彼女を女神として見ている一馬には、それは感激すべきことだった。
「ねぇ、一馬クン・・・」
彼女が、身体の向きを変えようとして、身体を動かし始めた。
山が動き、地が轟く。一馬は、逃げ出したくなる振動の中で、立ち尽くした。 |
彼女の腰が上がる。テーバッグショーツが覗く。白い肌に食い込んでいる黒のショーツがあまりにも艶かしかった。 さらに、ミュールを履いた足が床を滑っていく。その振動で、床が波打つように揺れる。 一馬は、「あっ!」と言葉を発し、床を滑る彼女の足が向かう先を見詰めた。 そこには先ほどの彼らがいる。20名近くが跪き、彼女に祈りを捧げている。 “ユイサマ、ワタシタチヲオユルシクダサイ” 「逃げろ!」 一馬は声を上げた。 数名がこちらを見た。それに、彼らだって、床を滑ってくる、巨大な彼女の足に気づいているはずだ。 だが、逃げないのだ。 上空からは、彼女の声が響いてくる。 「一馬クンて、私の姿を見ながら、オナニーをしていたんだって?」 一馬は、そこにいる彼らに向かって、もう一度大声で叫んだ。「逃げろ!」 だが、彼らは、もう、一馬に視線を向けることもなかった。空間をかき混ぜ、床を震わせて動いている巨大な彼女を見上げ、一心に祈り続けていた。 ユイサマ、ワタシタチヲオユルシクダサイ その彼らに、彼女のミュールが襲い掛かる。彼らよりも遥かに巨大なミュールは、そこに何も存在していないかの様に、彼らをその下に巻き込んで床を滑っていった。 *** ユイは、太ももの横にいた一馬を、股間の下に位置させるために身体の向きを変えた。 その彼女の目に、先ほど、ヒップの下から背後に向かって逃げていった島民たちが見える。 |
逃がしてあげてから、5分は経っている。もう、だいぶ散らばったと思っていたのに、彼らはまだユイの近くにいた。膝を伸ばしてつま先を前に出せば、点の集団である彼らは、そのままミュールの下敷きになる、その近さだった。 ユイは、彼らの縮尺から、走る速さを考えてみた。 “1/2000でしょ・・・だから・・・一所懸命に走ったとして・・・・ ・・・・一分間に12センチ・・・えっ!たったのそれだけ?” だが、確かに集団の動きはそんなものだった。 その集団の横にミュールを置けば、踵からつま先まで走るのに、たっぷり2分掛かる。ユイは、彼らのその遅さにクスッと笑ってしまう。 “ちょっと、やってみよう” ユイは集団に向け、足を伸ばそうとして、広げた太ももの下にいる一馬に目がいった。 「あらっ、一馬クン・・・あっごめん、忘れてた」 *** 一馬は、彼女のミュールから目を離せなかった。その黒いミュールがたった今、20名近くをすり潰していたのだ。 半年間、彼らと一緒だった。おまけに彼らを集めて日本語を教えている。名前までは分からないが、その体形や顔で、1500名の島民の大半は見覚えている。 当然、巨大なミュールに巻き込まれた人々も見知っていた。 一馬に比べて、十分の一のサイズの人々であるが、ある程度、日本語が分かるようになった彼らから、片言の日本語で、彼らが南の島から無理やり連れて来られたことを知った。 それに、彼らを知れば知るほど、彼らが豊かな人間性を持っていることが分かった。歌を歌い、楽しい時は笑い、悲しいことには涙する、とても豊かな感情を持つ人間だった。 その人々が、彼女の何気ない動作の中ですり潰され、床に僅かに残る染みになってしまった。 島民達は、以前に彼女達が残酷な振る舞いをしたことを知っていた。だから、一馬に話そうと思えば、それができた。だが、思い出しても恐ろしいその光景を口にはしたくなかった。 だから、一馬は、ユイ、リエとも、ブラックジョークを言い合うのが好きな女性達だとしか思っていなかった。 今日のユイの振る舞いも、冗談の中でやっていると思っていた。 だが、たった今、一馬の目の前で20名近くが死んだ。 一馬は、上空から轟いてくる彼女の声を聞いた。 その声の方、彼女の顔を見上げる。 Vの字に広げられたムッチリとした巨大な太ももが、頭上に聳えていた。 その開いた太ももの間から、さらに上空に、彼女の豊かな胸が見え、彼女の顔が見えた。 やはり、綺麗な顔だった。 こんなに綺麗な人が、平気で残酷なことをする訳がない、さっきの出来事は、彼女が気づかずにやってしまったことだと思えてくる。 彼女にそれを教えてあげようとして、大声を出した。 「ユイさん!だめだ!動くと、人を潰し・・・」 だが、直後、上空にある彼女の口から澄んだ声が響き、一馬の声はかき消された。 「ねぇ、一馬クン。一馬くんて、私の姿を見て、オナニーするんでしょ? リエがね、私の姿を見てオナニーしている一馬クンを見たのよ」 ユイは、広げた太ももの下にいる小さな者を見下ろし、クスクスと笑い出す。 その小さな者は、焦って何か言い訳を言っているのかも知れない。でも、床にいる1センチにも満たない者の声が聞こえるはずもない。でも、彼の反応が知りたくなる。 「一馬クン、私の言葉が分かる?分かるんだったら、両手を挙げてみて」 小さな者の両手があがる。それを確認して、もう一度先ほどの質問をする。 「ねぇ、一馬クン、私の姿でオナニーしてたんでしょ?どうなの?答えて」 モジモジしている様子で、答えてくれない。 「ちゃんと答えてよ!」 つい、声を荒げてしまう。でも、ようやく、小さな者の両手が上がった。 「そう、それで良いの。正直に答えてね」 その言葉に反応し、小さな者の一旦降ろされていた手がまた上がった。 ユイは、クスッと笑う。「別に今の、質問じゃないから。手は挙げなくても良いのよ」 “そう言えば、一馬クンて年下だった・・・” 未成年ではなかったが、少年の様に見えた彼の姿を思い出す。 それに、縮小の結果、彼は、小さく脆い生き物になっている。 『小さな保護が必要な少年、それを淫乱に誘惑する“お姉さん”』、ユイは自分のことがそう思えてくる。 それが、ユイの気持ちをセクシーに高め始める。 「一馬クンにとって、私って、お姉さんなのよね・・・ ねぇ、一馬クン、今、このお姉さんを見て、うっふふ・・・オナニーしたい?」 両手で服の上から乳房をゆっくり揉む。 「一馬クンは・・お姉さんの大きな胸・・すき?・・・・・それとも・・・」 さらに、片手を下に向けて肌を滑らせていく。気持ちがゾクゾクしてくる。 指先がヘソの窪みの横を通り、パンティに包まれた恥骨に触れる。パンティの上から手の平で恥骨の膨らみを包み、指先を下に向ける。 「お姉さんのここが気になっちゃうのかしら・・・・ふふふ」 指先でパンティの上から敏感な部分に触れる。ビクッと身体に電気が流れる。 顔を上げ、ふっとため息をつく。その視線が、床面を這っている点の集団をとらえる。 それは、必死に逃げている1500名の島民たち。そして、その小ささがユイの加虐性に火をつける。 ユイは、下半身に溢れてくる熱を感じながら、彼らに向けて言葉をかけた。 「うふふ、あなた達も、一馬クンとの遊びにまぜてあげる・・・」 さらに、ユイは口元に笑みを浮かべ、広げた太ももの下にいる一馬に声をかける。 「うっふふ、ねぇ、一馬クンに、お姉さんのセクシーポーズを見せてあげる」 しゃがんだ姿勢から膝を着き、身体を前に倒して四つん這いになり、そのまま、小さな点の集団を追いかけ、彼らを身体の下にして、その進路を塞ぐように顔を降ろす。 そして、腰を左右に振りながら、床にいる一馬に言葉をかける。 「どう?一馬クン、この格好、興奮しちゃう?うっふふ、良いのよ、私を見てオナニーしても」 |