《 ユイとリエさん 》 第2話
文 だんごろう
イメージ画像 June Jukes
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トップシークレットの研究を進めている彼女達には、他の研究員から情報が漏れない様に、高度なセキュリティが施された研究棟をまるまるひとつあてがわれています。 その中には用途別の研究室がいくつかあり、今、彼女達が入っていった部屋は、キッチンとリビングがセットになっている場所でした。休息や考え事をするために、ユイが作らせた部屋で、彼女達のプライベートルームのなっています。 その床の一角に小さな人々が置かれていました。
部屋に入った二人は、テーブルに置かれているリエのケータイが呼び出し音を発しているのに気づきました。達也からの電話です。リエは、そのケータイを取り上げ、ユイの後に続きます。
ユイは、床に目をやり、小さな人々が逃げることなく、先ほどの位置に点々といるのが分かりました。 そこに足を向けながら、1センチの彼らに取っては、自分たちは、300メートル近い巨人になることを思い、今、小さく響いている足音だって、彼らの身体を震わせる振動になっていることを想像します。そして、彼らが見上げる、床を震わせて近づいてくる自分達の巨大な姿を頭の中で思い描き、身体の中の血が騒ぎ始めました。
ユイは、点々と存在する人々の手前で足を止め、彼らを見下ろし、
「ちゃんと待っていてくれて、ありがとね」と声を降ろします。
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