マチスンの主題による変奏曲
CLH 作
笛地静恵 訳
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【訳者前書】
シュリンカー・ファンの聖書とも言われる『縮みゆく人間』(リチャード・マチスン作 早川SF文庫・絶版)
のパロディ作品は、海外にはいくつもあります。 影響を受けている作家は、無数にいるでしょう。
たとえば、スコット・グリルドリグのペン・ネームの由来は、主人公のスコット・ケアリーでしょう。
『マチスンの主題による変奏曲』は、『縮みゆく人間』のパロディです。 サイドストーリーになっています。
原作では慎重に回避されている、エロティックな体験を、描いています。
しかし、この作品は、私見ですが、その種の内の最良のものではないでしょうか。
二分の一、四分の一、十分の一と、三つの縮小の時期を描いています。
主人公であるスコットにとって、女たちは、二倍、四倍、十倍と巨大化していきます。
読み進んでいく読者には、比較対照によって、妻や娘の存在が、より巨大に圧倒的になっていく過程が、自然に感じられます。
巨乳は、爆乳に、超乳に変貌していきます。
パロディ作品で感動までを味わうというのは、GTS小説というジャンルに限定しなくても、ごく稀なことではないでしょうか。
お楽しみいただけたらうれしいです。
ガロン氏のご好意によって、一度だけ、一部のファンの中で回覧されたことがあります。
その後は、どこにも発表せずに、個人的に楽しんでいました。
今回、作品の高い価値を考えて、「巨大お胸のページ」に掲載していただくことにしました。
リチャード・マチスンの名作を、巨乳フェティシズムの視点から読みなおすと、この作品になると思うからです。
旧訳の発表の場所を与えてくれた、みどうれい氏と、邂逅の機会を与えてくれたX−virus氏に、深く感謝いたします。
なお例によって、日本の読者と訳者本人の便宜を考えて、意訳になっています。
笛地は、翻訳とは、愛する作品を、異なる文化を持つ風土に、植え替えることだと考えています。
品種改良をしてやらないと、異国の土の上で、長い生命を得ることはできないだろうという判断からです。
逐語訳ではなくて、行間を補っていることをお断わりしておきます。
ただそれは、誤訳の言い訳にはならないと思います。今回も、大幅に改訳改訂しました。
読者の注意によって、さらに良いものにしていきたいと思います。
拙訳への、ご指導とご鞭撻を、伏してお願いしておきます。
1991年に、アメリカで入手したコピー原稿を定本にしました。
ネット版とは、第2番の最後が大きく異なっています。
なんらかの自己規制の結果だと思われます。
笛地静恵拝。
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「あなたの、クリスマスの七つの願い事は、なにかしら」
彼女は、そうささやいた。
彼女は、両手の中に、彼を掬い上げた。
空とぶ船のように、彼はドールハウスの前を、ゆっくりと上昇していく。
素肌に触れる彼女の手は、しっとりと汗ばんでいた。
マチスンの主題による変奏曲第3番(十八センチメートルの頃に) より
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《目次》
第1章
マチスンの主題による変奏曲第1番(八十五センチメートルの頃に)
第2章
マチスンの主題による変奏曲第2番(四十センチメートルの頃に)前編
第3章
マチスンの主題による変奏曲第2番(四十センチメートルの頃に)後編
第4章
マチスンの主題による変奏曲第3番(十八センチメートルの頃に)前編
第5章
マチスンの主題による変奏曲第3番(十八センチメートルの頃に)中編
第6章
マチスンの主題による変奏曲第3番(十八センチメートルの頃に)後編
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